レイアップ


家に帰ると、おれは速攻で制服を脱ぎ、ビショビショになったシャツを洗濯機に放り込んだ。時計の針は5時を回っている。そのままシャワーを浴びて、全身の汗を洗い流す。風呂から出ると、冷蔵庫からキンキンに冷えた麦茶を取りだし、これでもかというくらい飲みまくった。

その後は、脱力感と解放感と疲労感とデタラメな眠気。
それが一気に襲いかかってきて、おれはリビングのソファーの上に倒れ込んだ。


次に、意識が目覚めたのは時計の針が7時を回った頃。

食欲をそそるいい香りと、何かを炒めているフライパンの音で目が覚めた。

「そんな格好で寝てると風邪引くよ」

台所からおふくろの声。
それを聞いて、自分がパンツ一枚でソファーに寝ていたことを思い出した。まだ、頭が寝ぼけていて体がダルい。
のろのろと、部屋着のジャージとTシャツに着替えて、食卓についた。

「今日は中華にしてみました。さあ、冷めないうちにとっとと食べな」

今日の晩飯は、アツアツの麻婆豆腐と焼き餃子・・・。

このクソ暑いのに、なにが中華にしてみましただ。
おれは、思わず文句をつけそうになったが、あまりの空腹から、黙って箸をつけた。


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