レイアップ
ミウの反応は微妙だった。別に嫌そうな顔はしていない。だが、一瞬パッと明るんだ瞳はすぐに曇ってしまった。何か悪いことでも思い出したみたいに。
それは、今までに見たことのない切なげな顔だった。
何故だかは分からない。おれがその顔の意味を知るのはもう少し先の話だ。
その時のおれには、相手のことを気にかける余裕なんてなかった。頭の中には既にミウの浴衣姿がふわふわと浮かんでいた。
つくづくバカな思春期。