レイアップ


「ホントわるかったな。勝手にすっぽかして」

悪いと思ったら素直に謝る。それがおれとユキとのルールだった。一年遅れの完全タイムオーバー。今更もいいとこだけど、おれはユキを横目で見ながら恐る恐るいった。すると、ユキは涼しく笑ってみせた。

「別にいいって。それに私が勝手に誘っただけだし」

胸につかえた氷が溶けた気分だった。久しぶりにユキの笑った顔を見たおれは、忘れていた幼馴染みとの距離感を取り戻したように思えた。

お互い、今日初めてしっかりと目を合わせて、少し笑う。

それから、堰を切ったようにおれたちは喋り始めた。

高校に入ってからできた新し友達。授業の難しさ。変な癖のある面白い教師の話。ユキは新しい環境の中でも楽しくやっている様だった。女子高ではよくありがちな同性愛の話も、少し困った顔をしてユキは話す。
既に、他のクラスの女子から三人も告白されたそうだ。

もしも、こんなところを彼女たちに見られたら、おれはきっと八つ裂きにされてしまうだろう。

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