不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 皆口さんにそう言われ、そのハムを口の中に放り込む。
 愛情が込められているせいか、いつもよりおいしい気がした。

 どのおかずもお世辞抜きで本当に絶品だった。
 おいしい、おいしい、と連呼していると、皆口さんがだんだん笑ってくれるようになって、他愛ない会話も弾んでくる。

 何気ない会話でわかったのだけれど、私と皆口さんは同い年で同期だった。
 我が社は大手で毎年多くの社員が入社するから、一概に同期と言っても、部署が違うとこうして実際に顔もわからない人も居たりする。
 藤野くんもそうだった。

「皆口さんは料理上手なのね」

 同い年で同期だとわかると、お互い自然と敬語が取れる。それだけでぐっと親しくなった感じだ。

「作るのが好きなだけよ。でも……どんなに上手くなっても、好きな人に食べてもらえないんじゃねぇ……」

 罪深き男である笹岡さんの顔が頭にチラついて、その途端にどんよりとした溜め息が漏れた。

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