不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 笹岡さんから突っ込みが入っても動じず、藤野くんは私を見ながらクイっと顎で出入り口を指し示した。
 私も早く上がれという意味だろう。
 デスクの上をパパっと手早く片付けて帰り支度を終えると、私もそっと席を立った。

「お先に失礼します」

 私にしては愛想もなく淡々と笹岡さんにそう声をかけて通路へと出た。
 エレベーターホールまで行くと、藤野くんが待ち構えるように私の姿を捉える。

「俺、行きたい店があるんだ。付き合ってよ」

 エレベーター機に乗り込むと、藤野くんがなんでもないことのように言う。

「藤野くん、お誘いはうれしいけど、こういうデートみたいなのはダメだよ」

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