不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 な、なぜ……知っているのでしょう。
 デートの相手が私だということを。
 どうやら私と風見さんが付き合っているのは、かなり知られてきているみたいだ。

 田中さんがマーケティング部の中に入ろうとするのを止めるように、直談判はやめろと、風見さんが田中さんの腕を取りながらも非常に困った顔をしている。

 やいのやいのと、押し問答が続いているが、今このふたりを困らせてしまっているのは間違いなく私だ。
 私が今日のデートを諦めれば、問題解決になるだろう。
 風見さんもあそこまで頑なに、接待を拒否する理由もなくなる。

 左手にファイルを持ちながら、右手で握りこぶしを作り、私はよし! と小さく気合いを込めた。
 そして、身を隠していた通路の脇から、スタスタとふたりの元まで歩み寄る。


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