不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「!……」

「あー、緒川さん! いいところに来た!」

 実はお願いがあってね、と田中さんが満面の営業スマイルで私を迎える。
 そして、風見さんにしていたように、今度は私の目の前で両手を合わせて懇願の姿勢を取った。

「実はさぁ……」

「さっき、そこでちょっと聞こえちゃいました。今夜、接待なんですよね?」

「そうそう!」

 話が早いと言わんばかりに、田中さんが調子よく私の肩をポンポンと叩く。
 私もそれに合わせるように、愛想笑いの笑みを顔に貼り付けた。

「風見さん、行ってください」

「……お前……」

「私のことはどうぞお構いなく。大丈夫ですから」

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