不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 風見さんのデスクのほうへ首を伸ばして視線を送った瀬戸さんが、少し残念そうな顔をした。
 そして、私の近くで佇む染谷さんに静かに視線を移し、ニヤリとした意味ありげな笑みを貼り付ける。

「なるほど、だからか。でもさ、風見くんが手出しできないときに仕掛けるのはちょっと狡いんじゃない? 染谷くん」

 染谷さんと瀬戸さんの人事異動は同時で、ふたりは入れ違いのはずだから、面識はまったくないと思っていたのだけど。
 よく考えてみると染谷さんが以前にいたのは横浜支社だったし、昔から瀬戸さんは横浜支社に出入りしているせいか、染谷さんのことはよく知っているような口ぶりだ。

「お疲れ様です、瀬戸さん。でも、今のはなんの話ですか」

「あはは。とぼけないでよ~。ごめんね。さっきの二人の話、ちょっと聞こえちゃったの」

 笑いながらわざとおどける瀬戸さんとは対照的に、染谷さんからは笑顔が消え、代わりに小さく溜め息が漏れた。

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