不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「あの、でも……風見さんは今接待中で、どこにいるのかわからないから、行こうにも……」

 せっかく背中を押してもらえたのに、どこに行ったらいいかわからないなんて、自分でも間が抜けてるなと思う。
 おずおずと瀬戸さんにそれを告げると、フッと笑って「大丈夫」と言葉を返してくれた。

「営業部が使う料亭でしょ?」

「はい。田中さんが“料亭”って言ってました」

「だったら駅向こうの料亭よ。十中八九そこ!」

 瀬戸さんが本社にいたときも、自身で接待は何度か経験しているせいか、自信満々でその料亭だと断言した。
 そこまで言うのだから、ほぼ間違いないのだろう。

 あれこれ思考をめぐらせていると、瀬戸さんは間髪入れずに自分の鞄から手帳を取り出して、すらすらとそこにペンを走らせていく。

「ここ。地図書いたんだけど、わかる?」

< 272 / 298 >

この作品をシェア

pagetop