不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 打った衝撃でヒリヒリと痺れている右膝と右手が気にはなったが、どうせ夜だし暗くてよく見えないのだからと、確認もせずにそのまま再び料亭へ向けて駆け出す。

 近くまで来てから立ち止まり、キョロキョロと看板を探した。
 瀬戸さんに書いてもらった地図でいうとこの辺りのはずだ。

 すると、『花亭』という目当ての看板が目に留まった。
 ぜいぜいと息を切らしながら、よろよろとそこへ向かって歩みを進める。

 風見さんたちは……まだ中にいるのかな?
 いや、十中八九ここだと言われたけれど、違う料亭の可能性も僅かながらにある。

 とりあえず中に入ってみて、お店のスタッフに会社名を告げてから聞いてみよう。

 よし! と気合を入れなおして、その料亭の門をくぐろうとしたその時だった。
 がやがやと大勢の人の声がして、中からわらわらと人が出てくる気配がした。

 出入り口で邪魔になってはいけないという思いから、咄嗟に私は踵を返して門の脇に寄ったのだけど、その数名の人たちの中に、見覚えのある姿があった。

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