不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 タクシーに乗り込む頭髪の薄い年配の男性に、愛想笑いをしながら頭を下げてる人がいる。
 あれは……営業部の田中さんだ。
 今日の昼間に見たばかりだから、間違いない。

「……あ」

 タクシーでのお偉方のお見送りが終わると、そこには三人しか残っていなかった。
 そしてひときわ背の高い、見慣れた姿がそこにあった。

 隣に居る女性が……仲里さんだろうか。
 薄いグレーのスーツをパリっとカッコよく着こなしている女性がいる。

 なにか話しかけられて、風見さんがフッと笑ったのが、暗くてもよくわかった。

 ふたりが並んで立っていると、それがすっごくお似合いに思えてくる。
 風見さんの隣には、ああいうスマートで綺麗な女性のほうが見栄えがする。

 私はここまで来て怯んでどうするのだ。
 女は度胸だと、さっき瀬戸さんに教わったばかりなのに。

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