不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「あの! 風見さん!!」

 勇気を出し、パタパタと小走りでその三人の傍まで駆け寄ると、風見さんが私を視界に捉えて大きく目を見開いた。
 驚きを隠せずにこちらを凝視する風見さんを前にすると、私はなにを喋ったらいいのかわからなくなる。

「あれ? どうしたの、緒川さん。ちょうど今、接待が終わったところだよ」

 一番離れた位置にいた田中さんが、私に気づいて明るい口調でそう教えてくれたけれど、私はそれに「お疲れ様です」と小さくつぶやいて反応するだけで、右から左へと言葉自体は耳を通過していった。

 ところでなぜここにいるのかと、田中さんにも不可思議な視線を送られている気がする。

 だけど申し訳ないが、それにも今は反応できない。
 それくらい、風見さんの視線に捕まっているからだ。


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