不機嫌な彼のカミナリ注意報2
 だけど私はこれを見せるためにここに来たわけではないのだから、今は怪我なんてどうでもいい。
 私はそう思っているのに、風見さんのしかめっ面は直ってくれないから困る。

「なんで怪我してる?」

「えっと、……先ほど……走ってて転びました」

「は?」

「だ、だから、ここに来る途中に派手に転んだんですよ、歩道で!」

「転んだ? ひとりで転んだのか?」

 ひとりで、という言葉がよくわからないまま「はい」と答えると、風見さんからハァーっという溜め息が落ちてくる。
 あわてて走っていて勢いよく転んだのだと説明すると、少しばかり風見さんが脱力した。

「転んだんだな? 襲われたんじゃなくて」

「お、襲われた?! いえいえ。襲われてはないです!」

「お前……ビビらせんな」

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