不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「いりません。風見さんが家まで送ってください」

 自分で送ってくれと要求するあたりが清瀬らしい。
 さすがの俺でも、この状態の女を置き去りにしては帰れない。
 呆れた溜め息をひとつ吐き出し、大通りへと出たところで俺はタクシーを拾った。

「マンションの前で降ろして、俺はそのまま帰るからな?」

 最初にそう言っておいたというのに。清瀬はタクシーを降りた途端、まともに歩けないと俺に訴えかけた。

「弱いならヤケ酒なんか飲むな」

 ここです、と部屋の玄関扉に手をかける清瀬の背中に向かって、低い声で言い放つ。

< 70 / 298 >

この作品をシェア

pagetop