ツンデレ専務と恋人協定
乗ろうとしたタクシーの扉が閉まり、専務は私の方へと向かって歩いてくる。

私も専務の方へと向かってゆっくり歩いた。

目の前まで行くと、引き寄せられるように専務に抱きしめられた。


「海里は?」


抱きしめていた腕を離して、専務は聞いてきた。


「海里に送ってもらうんじゃなかったのかよ?」


ちょっと拗ねたように言う専務が可愛いだなんて言ったら、今度こそ怒られるだろうな。


「専務に送ってもらおうと思って…ダメですか?」

「俺の手を振り払っといて何だよ」

「あれは、常務に薬を渡そうと思って…待ってくださいって言ったじゃないですか」


常務と一緒に帰る気なんて全くなかった。

それに専務が俺が送っていくって言ってくれた時は、心の底から嬉しく思った。


「海里に抱きしめられてただろ」

「あれは、いきなりで…好きで抱きしめられてたわけじゃないです」


本当に驚いて、未だに常務が何を考えていたのかさっぱりわからない。

私のことを好きだなんてあり得ないし、専務が来るのを知っていただろうから何か企んでいたのかもしれない。


「じゃ、俺には?」

「えっ?」

「俺にはなんで抱きしめさせた?」


専務はそう問いながら私をまっすぐを見つめてくる。


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