ツンデレ専務と恋人協定
なんでって言われても、専務が私を引き寄せて抱きしめてきたからだけど。

でも、嫌だという思いとか驚きなんて全くなくて自然と抱きしめられた。

多分、抱きしめられたいって思っていたんだと思う。


「俺も嫌々か?」


好きだから抱きしめられたかったと言いたいのに言えなくて、私は頭を左右に振ることしかできない。

今の私には好きだなんて言える資格なんてないんだから。


「俺のことどう思ってんだよ?」


私は専務を見つめることしかできなくて、伝えられないことがこんなにも苦しいだなんて初めて知った。

専務は私の答えを待っているのか、ただ黙って私を見てくれてる。

私は迷いながらも口をゆっくりと開こうとした。

だけど、少しだけ開いた唇を再び閉じる。


「泣くなよ」


言葉の変わりに、私の目からは涙が溢れてきていた。


「もういいから」



そう言って、専務は困った顔をして私の流れてくる涙を指で拭ってくれる。


「泣かすために聞いたわけじゃねぇ。泣くなよ。俺が悪かった」


専務は少しも悪くないのに、本当に申し訳なさそうにそう言った。


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