ツンデレ専務と恋人協定
その後もベッドの上で、専務とふざけ合いながらしばらく過ごした。

お腹が減って、やっとベッドから出ることにした私たちは支度をして空腹を満たすためにレストランにやって来た。


「このあとどっか連れて行ってやろうか?」

「え?」

「お前の行きたいところ」


そう言われて、行きたいところを考えるけど、特に思い浮かばない。


「専務はどこ行きたいですか?」


今日は専務の行きたいところへ行きたいな。

そう言えば、専務の行きたいところって聞いたこともなかった。


「栞奈が行きたいとこ」

そう言われ、返事にも行き先にも困ってしまう。


「温泉、行くか?」

「え?」


今、温泉っていったよね?
何でいきなり温泉と思っていると、専務は隣の席を見るように目配せをしてきた。

隣の席にはカップルが食事を済ませていて、温泉のパンフレットをふたりで見ている。

それでいきなり温泉だったんだ。

まあ、今日は土曜日で明日も休みだから行こうと思えば今からいけるけど…。
温泉ってことは旅館で一泊するってことだよね。


「そうと決まれば電話してみるか」


そう言って、専務はどこかに電話をかけだした。

温泉なんて両親がいなくなってから行ったことがないから、すごく久しぶりだ。

だから、行きたいのは行きたいけど、やっぱりいろいろ意識するわけで、もう何年も下着を買っていないことを後悔する。

あれやこれや考えているうちに、専務は電話を終わらせていて、私たちは食事を済ませてレストランを出だ。
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