ツンデレ専務と恋人協定
専務はやっと腰をおろし、ネクタイを緩めてから続きを話した。


「もともと政略結婚で冷えきった家族だったんだけど、会社のために離婚もできねぇで」


専務が自分の口で自分のことを話してくれるのは初めてだ。

会長が専務のお母様だってことも聞いたのは別の人からだった。


「でもついに親父が女作って出ていった。まあ、俺から言わせりゃ親父もお袋も会社の犠牲者だな」

「両親が死んでからお姉ちゃんが必死に働いて大学も行かせてくれたんですけど、お姉ちゃんは犠牲になったなんて思ってないって言ってました。守るものがあって幸せだって言ってくれました」


だから、専務のご両親も会社の犠牲になったなんて思っていないかもしれない。

少なくとも、ふたりが出会い結婚して専務が産まれたんだもん。

幸せだって思えた時はあったと思う。


「お前が真っ直ぐ育ったのは姉ちゃんのおかげだな。姉ちゃんに感謝しねぇとな。今度また一緒に姉ちゃんの店に顔出すか」

「はい!」


ヒカリで働きだしてから全くお姉ちゃんのお店に顔を出していなかった。

お姉ちゃんの話をしたからか久しぶりにお姉ちゃんに会いたくなった。


< 94 / 232 >

この作品をシェア

pagetop