夢幻泡影


しゃがみ雪を丸める

瑛の頭の中は、子供の頃に兄弟とした雪合戦を思い出していた


「投げるなよ?」


瑛が座ったまま、土方を見上げる


『綺麗な顔…』


投げてはダメだと言われて丸めた雪を見る


パクッ


『冷たい…』


無意識に雪を食べた

何も食べずにいようと思っていた


あまりの冷たさに頭痛がした


頭を抱える瑛を土方が抱きしめる


「はははっ!雪なんて食うからだ!」


土方に抱えられ、廊下に座らせられた

山崎が手ぬぐいを出す


『土方さんが呼んでた、山崎さんだっけ?』

土方が手ぬぐいを受け取り

瑛の足を拭く


『……土方さんも裸足で出たのに自分より先に人の足を……』


「山崎!!お粥頼む!」

「はい!!」


土方から手ぬぐいを取り上げ

瑛は土方の足を拭こうとする


「いやいや俺はいいから!!///」


瑛は首を傾げる


『本当に不思議…』


瑛は土方に構わず土方の足を拭く


「/////」


拭き終わり、土方を見ると真っ赤になっていた


『人に構って裸足で雪の上を歩いて、羽織をかけて風邪をひいたの?ああ。だからお粥頼んだのか……』


瑛は土方をずっとみていた


『綺麗…
土方さんは、汚れていない。
あたしが触った頬も綺麗なまま。
あたしとは大違い。』

瑛は自分の両手を見た


『汚い。こんな汚れた手で触ったのに…』


瑛は、自分の手が汚れて見える

土方が瑛の手をとり、
「ハァー。ハァー。」と温める


『土方さんの息がかかる手が綺麗になる!!凄い!!土方さんは人も綺麗にできるんだ!!もしかしたら、あたしも……』


「履物用意するから、裸足で出るのはやめろ! な!?」


土方が瑛の頭を撫でる




『外に出ていいの……?』



瑛が土方の顔を見ると、優しい笑顔だった




『土方さんは、守ってくれる…?』



「好きなだけここにいていいからな?
体力回復して、元気になって、ここでの生活に慣れたら、仕事も頼んでいいか?」


『いいの…?ここで仕事……』


「よろしくな!!」


『言わなくちゃ!!』


「・・・・・」

〝ありがとう〟


声は出なかった

でも、土方は口の動きでわかった


「どういたしまして!」











瑛の監禁生活は終わった
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