夢幻泡影
潜入
二月になり、政変の報酬を貰い

宴会をすることになった新選組


「瑛!何してる!さっさと支度しろ!!」


『え!?』


てっきり留守番だと思っていた為、繕い物をしていた


「お前も行くに決まってんだろ!!」


土方が急かす


首を傾げる


『女が行って良いとこではないよね…。』


「島原は女も入れるし、食事をするんだ!無理に食わなくてもいいから、心配してねぇで準備しろ!」


『へえー。吉原とは少し違うのかな』


襷をとり立ち上がる

取り立てて準備といっても、することがなかった


「ん?いいのか?」


女の身支度は、時間がかかるもの

急かす土方の方が支度が出来てない



「わりぃ。待たせたな!」



支度を終えた土方が廊下に出ると


「いいえ。」


時々、声が出る

頭をポンとつつかれ

「いくぞ!」

土方は、騒ぎ立てず当たり前に接する

瑛は、その心遣いが嬉しい





宴会が始まり、たくさんの料理に手を出せず、チビッとお酒を飲みお猪口を置く

そんな瑛に声をかけた


「うち、琴里(コトリ) いいます。おなごはんが新選組にいはるとは驚きどす。」


挨拶したいが、声が出ない…

困っていると


「すみません。瑛は声が出にくいので、お話しは難しいんです。」

沖田が助け船を出す


「あらぁ。かあいらしおすのに、しんどいことですね。」


首を傾げる


「瑛が可愛いって!」 沖田が通訳


あえて〝しんどい〟は訳さず


ぶんぶんと首を横に振る、少しお酒を飲んだせいかクラクラする頭を抑える


「いやあ。可愛い!!」


琴里が瑛に抱きつく


「うちとお友達になれへん?」

「なる!!コホッ コホッ」


勢い余って咽せる


「嬉しおす!可愛い声どすね!!」


今度はそろっと首を横に振る


「・・・・・・・・・!!」
「ことりさんのほうが!!だそうです」


「沖田はん。嘘言うたらあきまへん!」

「いえいえ。瑛そう言ったでしょ?」


瑛が大きく頷く


「ほんまに可愛い!!」


琴里が瑛の頬に口づけする


瑛が固まるが


「うちには?」


と琴里が人差し指を頬をつき出す


『お千さんとは、しなかったけど…』


瑛も琴里に口づけする


そんな二人のやり取りを見ていた酔っぱらいたちから


〝俺も!〟攻撃を受けた


琴里が耐えきれず、瑛を連れ出す


「ふぅーー。いつもあんなに群がんのん?」

頷く


「人気者やなぁ!ふふふっ」


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