バレンタインは俺の生き甲斐やっ!
*
「なぁなぁ、ミサキー」
「…………」
「ミサキちゃ~ん?」
「……ちゃんづけせんといて、きしょいわ」
「やー、つめたー!」
たっちゃんがわざとらしく涙をぬぐう仕草をする。
それを無表情に見つめながら、あたしは砂肝を噛んだ。
「なに怒ってんねん、ミサキー」
「せやから怒ってへんて」
「ほんまに~?」
「しつっこいな! 黙って食べぇや! 冷めても知らんで!」
たっちゃんは「はーい」と唇を尖らせて、豚バラ串を頬張った。