聖夜に舞い降りた天使
それからアンジュは薪と反対側に置いてある
大きなクリスマスツリーに目をやった。

アパルトマンのオーナーがここに本物の樅の木を持ち込み、住人である僕たちがオーナメントなどの飾り付けをするのが毎年の恒例となっていた。




ソファから立ち上がってオーナメントのひとつひとつをゆっくりと眺めると
クリスマスツリーをぐるぐると取り巻いているライトを見つめる。


「ねぇ、これって灯りがつくの?」


「あぁ、できるけど……」





学生達が賑わっている間は毎晩誰かが思いついたように灯りをつけていたが、ひとりになってからは面倒くさくてそのままにしていた。


「わぁっ!つけてもいい?」


アンジュは僕の返事を待たず電源はどこかと辿っていた。


「待って。つけるから」





僕はソファから立ち上がるとクリスマスツリーの灯りをともした。

途端に煌びやかな光に包まれる。





「綺麗……」





光に呑み込まれるように立ち尽くすアンジュの美しい横顔に僕は見入ってしまった。

クリスマスツリーの電飾が点滅する光が彼女の顔に照らし出される。


「ねぇっ!部屋の明かりを消したらきっともっと綺麗よ。
ルネ、お願い。」


「う、うん……」


突然こちらに振り向かれ、
アンジュに見入っていた僕はドギマギしながら返事をすると
リビングとキッチンの明かりを消した。



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