聖夜に舞い降りた天使
バルト医師が立ち上がった。

「すぐ行く」
そして僕を見た。

促されるように一緒にエレベーターに乗り、彼女の病室へと向かう。





……エレベーターはなかなか来ない。
僕はいても立ってもいられず、その場で足踏みをする。


バルト医師が僕を誘導する。

「こっちだ」

二人で階段を一気に駆け上がり、廊下を息せき切って走り、彼女の病室へと急ぐ……





嫌な予感が胸を渦巻く。





病室の扉を開け、彼女のベッドへと足を向ける。










そこには……




さまざまな管に繋がれ、
酸素マスクをしたまま
微動だにしないアンジュが横たわっていた……










すぐ傍のモニターには真っ直ぐな直線が果てしなく表示され続け、
ピーッと長く響く耳障りな機械音が静かな部屋に響いていた。










「……間に合わなかった、か」

バルト医師が小さく呟いた。





< 45 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop