聖夜に舞い降りた天使
「アンジュ、これで外に出たの?」


驚いてアンジュに尋ねると、アンジュは少し困ったように答えた。


「うん。部屋にこれしかなくて……」


(もしかして、家出少女とかなのかな……)

彼女の家庭の事情はどうあれ、ここにずっといたら生命の危険にまで及んでしまう。


「家はどこ?送って行くよ」


そう言って歩くのを促そうとするが彼女は動こうとしない。


(やっぱり、家出かな……)











「帰るとこなんて、ないの。


だって、私天使だから……





空から舞い降りてきたの」


悪戯っぽく浮かべる笑顔に少しの翳りが見られた。





(放っておくわけにはいかないよな……)










「僕の家、すぐそこなんだ。
暖まるぐらいは出来るから……来て」


そう言って、彼女の手をとった。



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