ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「しょ、翔太!」

翔太はスーツに黒いマントを羽織って同じ色の三角帽を目深に被っている。

「こんなところで油売ってる場合じゃないだろ。今から城に行くんだぞ」

緊張感がないと翔太は溜め息を吐いた。

「もう三角帽被ってるの?」

「当たり前だ。こんなところに"サファイア"の当主がいるなんてばれるわけにはいかない。それに、王都の職員とか役場の人とかお偉いさんはみんなマントと三角帽を被ってるからな。紛れられる」

翔太の言うとおり、三角帽を被ったスーツとマント姿の人々はたくさんいて、忙しそうにどこかを目指して歩いている。みんな出勤しているところなのだろう。

「お前、三角帽は」と翔太が言うので「もちろん、あるよ」とあたしは魔法で三角帽を取り出すと「ほら」と自慢げに見せつけた。

「じゃあ被れ」

翔太はあたしから三角帽を奪うと乱暴に頭に乗せて目深に被らせる。

「ちょっと、何をするの!」と言いたかったけれどその前に翔太が「お前だって自分が"ガーネット"の跡取りだってばれるとまずいだろ」と言うので黙り込んでしまう。

「行くぞ。時間がない」

「あっ、待って!」

早足で王城に向かう翔太の後を慌てて追いかける。

いつもの翔太と変わらない反応、行動、振る舞い。だけど、いつもよりずっと冷たくて、殺気立っているような気がした。

「翔太、なんか怒ってる?」

「お前のあほすぎる行動に呆れてる」

溜め息混じりの回答にうっと胸が痛くなるのを抑えて「翔太」と名前を呼んだ。

「待ってよ」

「時間ないっつってるだろ」

「翔太」

「だから___」

あたしは翔太のマントを掴んだ。


「何をしてる」


翔太は足を止めて首だけ振り返った。


「手、繋いで」

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