ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「あ、あたしはただ姫に話を聞いてほしかっただけで、むしろあたしの方こそ無礼な真似をしました、本当にごめんなさい!」


慌てて頭を下げると「謝らないで」と姫はおっしゃった。


「今まであなたのような方はいらっしゃらなかったのです。

わたくしのこの立場がそうさせてしまうのかもしれませんが、今までこんなにも感情を露わにされることはありませんでした」


「す、すみません」


さらに縮こまっていると、姫はあたしの手を両手で掴んだ。


「嬉しかったのです」


その声に顔を挙げると「嬉しかったのですわ」ともう一度姫は目を見ていった。

透き通るようなルビーが優しく揺れる。


「わたくしにはずっと思っていたのです。本当の感情をさらけ出してくれる存在などわたくしにはいない、できないと。

それはわたくしが第一王女という立場である限り、王族である限りできないのだと、望んではいけないことだと、そう思っていたのです」


姫の言葉はすんなりと胸に落ちて、幼い頃の記憶を呼び起こす。

この力がある限り友達はできないと思っていた、あの頃の幼いあたしときっと同じだ。


「だけど今あなたがいる。感情をさらけ出してくれた、あなたが今目の前にいる。

まるでいつか物語で読んだ、友達みたいだと思ってしまいましたの。

これがどれだけ嬉しいことか、わたくしが知る言葉では言い表せませんわ」


目を細めて笑う、その目元に滲む涙を見つけた。


あの頃のあたしも望んでいた。

本当の仲間を、あたしを受け止めてくれる存在を。

だからこそ翔太や美玲、雅人に出会えたことがどんなに嬉しかったか。
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