最後の恋愛Ⅱ
「いいね、じゃあお誘いに乗りますか。」

「えっ?!」

何でだよ、何で?

待て待て、絶対まずいって!

マズイってば!

そろ~っと柳生さんと日下部さんを見遣る。

ん?

ふたりとも、何か顔を見合わせてにまついているけど、何で?

「ふ~ん?へぇ~なるほど、やっぱりな~。」

「な、何?何よ。」

日下部さん、何か気付いた?

いや、まだ大丈夫のはず・・・!

「さ、とりあえず場所移しましょうよ、大麦くん一緒に行くんだから、もちろんおごりよね?」

連行されていく私の後ろをついてくる大麦は、もちろんと言って微笑んで返した。

や~ば~い~~ってば!

大麦の案内で和食のお店に到着。

「ここなら、個室があるからゆっくりできるだろ?」

おおお

何で語る気になってるんだ?

いい加減にしろよ~お前!

本気で芽生える殺意だ。。。

「いいじゃないのいいじゃないの、日下部さん懐石よ?良かったわねぇ~。」

「わ~いっ、超嬉しいです。ありがとうございます、所長!」

良い顔で返事する日下部さんには見向きもせずに、大麦の視線は私に向いている。

向け!

向こうを見ろ!

こっちを凝視するな!

私は、たり~っと額を流れていく汗を確かに感じながら目線を伏せた。

「も~二人きりじゃないんだから、そういうおアツイのは後でにしてもらえるかしら?」

「ちっちが・・・!」

柳生さん、やめてよ、日下部さんもいるんだしさ!

「いいからいいから、ささ、そこらへんのこと詳しく聞かせてもらわなくちゃね~。入ろ入ろ!」

よくないよ、よくない!
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