最後の恋愛Ⅱ
「大和、隼人って呼んで?」

わわわ・・・顔が、くっ唇が近付きすぎ!

「やっ、ちょ、大麦っ、ま、待て、離してっ!」

「やだ。」

「やだじゃない!」

「じゃあ、とりあえずチューさせて。」

「ばっ、そんなこと言わないでください!」

その顔で、そんな言葉を言うなんて、どう考えても不釣合いだってば!

大麦はいつの間にか私の体を抱き上げている。

「スケベ猛獣!」

「ほめ言葉だな。」

「ほめてないよ!」

くすっと微笑んで、それから大麦は私の額に軽く口付けた。

も、も~~~~~っ

ゆっくりと地上に下ろされて、私は額に手を当てて―

ようやく、思い出した。

ここが、お店の廊下で

ここに、柳生さんと日下部さんが・・・いたという事を。

ああああああああ

にまつく柳生さんと、紅くなり頬を押さえている日下部さんと、気まずげに視線を迷わせる仲居さんの三人がこっちを見ている。

わ、忘れてた!

っていうか、忘れさせられてたっ!

「ヒューヒュー、何だ、もうすっかり出来上がってるじゃないの、おふたりさん。」

で、出来上がってるって!

「や、あの、これはですね・・・」

「はい、言い訳は後で聞くからね。さ、行きましょ日下部さん。」

日下部さん、もう明らかキラキラ顔でこっちを見てる。

ううううう

バレた。

バレた~~~~
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