最後の恋愛Ⅱ
やめて・・・

〈とめる権利はないのよ〉

柳生さんが言った言葉が、そのまま頭の中をめぐる。

分かってる。

私に、日下部さんをとめる権利はない。

自分からそれを選んでるんだから・・・。

けど・・・私の体は頭の中とは正反対に、素直に動いた。

「・・・大和?」

呼びかけられて、ハッとした。

自分の手が、大麦の腕をしっかりと掴んでいることに気がついて。

「あ・・・」

パッと手を離して、大麦を見上げる。

「・・・」

大麦は言葉なく、すっごい良い笑顔で見下ろしている。

しまった・・・

ああ、なんでだろう。

どうして、私の身体はこんなに大麦に近付く女の子に嫉妬するんだろう。

まだ、好きじゃない。

まだ・・・惚れてなんかいないのに

私は紅くなり顔を伏せた。

日下部さんもあきれてるんだろうな・・・。

いい歳して、何をウブな小娘きどってんだって・・・

「私、分かりましたよ。」

顔を上げると、日下部さんはもう席に着座してお刺身なんか口に入れている。

「森さんが、所長と付き合うこと渋ってる理由。」

そう言って、にまりと微笑む。
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