最後の恋愛Ⅱ
「森さん、あれ見て。」

大麦が森さんって名前で呼ぶたびに、ズキンと胸が痛む。

「え?」

大麦の指し示す方向に顔を向ける。

大きな遊園地のキャラクターをかたどったバルーンだ。

わぁ・・・

いいよね、やっぱりいいよねぇ・・・

何歳になっても欲しくなるよね。

そんなもんだよね?

うずうずするよね?

「ひとつください。」

ハッとする間もなく、大麦は風船をひとつ注文する。

もれなく、その風船は私の手に渡った。

「あ、りがとぉ・・・」

「いいえ。」

って、くすくすと笑う。

「森さんが、そういうの好きとは、びっくりしたな。」

・・・

「すみません、子供っぽくて。」

「いや、可愛いよ。」

・・・

そういうの、本当に・・・

腹が立つ。
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