最後の恋愛Ⅱ
早足で進みながら、大麦をちらりと見上げる。

ドキン

大麦と目がばちりと合って、瞬間的に、視線を落とした。

ズクンって、身体の中が呼応する。

ごまかせない、くらい、私は、この人のことを・・・好きだ。

情けなくなるくらい―。

きっと、今の私は耳まで真っ赤になってるだろう。

恥ずかしくて、逃げ出したいくらい、さらけ出したどこまでも「女」な自分がここにいて、大麦を激しく求めてる。

「・・・はや・・と・。」

小さな声で、その名を呟いた。

好き。

すごく好き。

大好き・・・。

再び、その顔に視線を向ける。

大麦は、微笑んで言った。

「何だ?」

「・・・ううん。」

何でも

ない

そう呟いて、前を向いた。

大きな観覧車、その乗り場が見えた。

「着いたな、そんなに待ってないな、すぐ乗れそう。」

私はこくりと頷いた。
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