最後の恋愛Ⅱ
「ちょっと、私も乗るからね。」

背後で如月さんが言ったけど、それは無視だ。

大麦の腕を掴んだまま、言う。

「早く、行こ。」

「ああ。」

観覧車に乗ったら、そうしたら、言おう。

今度こそ・・・。

半年間、好きだったって言ったじゃない。

なのに、本当に諦めちゃったの・・・?

もう、好きじゃないの・・・?

もう、私のこと、どうでもいいの・・・・・?

観覧車に乗り込んだ私は、大麦と向かい合って、ただ、何も言わずにその顔を見つめていた。

口を開けば、思っていることを全部、ぶちまけてしまいそうで―、何も言えない。

「何で観覧車なの?意味わかんな~い。」

大麦の隣に座る如月さんだけが、高い声を上げている。

後は、スピーカーから流れてくる可愛い音楽だけが、場違いに響いていた。

「で、返事は?」

そう言ったのも、如月さんだ。

もう、何だってあなたが言うのよ!
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