最後の恋愛Ⅱ
もう、とにかく黙っていろ~っ!

「早く言いなさいよ!」

観覧車は、まだ四分の一も進んでいないってのに、本当に煩いお嬢さんだ。

「悪い、弥生はちょっと黙っててくれるか?」

大麦が言って、私は咄嗟に口を出した。

「弥生って言わないで!」

大麦と如月さんが、パッとこちらに目を向ける。

「何言ってんの、おば―」

言いかけた如月さんを制するように、左手を出して大麦が言った。

「・・・何で?」

何で、だって・・・?

分かってるくせに!

「言ったじゃない、如月さんって呼んでって!」

っていうか、前は、弥生って下の名前から、如月って呼び方に変えてくれたじゃないさ!

どうして、呼び方元に戻しちゃうわけ?

私のこと、どうでも良くなったからって、そんなの、あんまりにもあからさますぎでしょ!

「どうして?」

それでも、追求してくる大麦を、私はふるっと震えて・・・睨んだ。

「だって、・・・だって、イヤなんだもん!」

「だから、何で?」

ううううううう

まだ、言うかっ!

大麦は、いじわるだ。

そう言って、私に答えを求めてる時でさえも、憎たらしく微笑んでいるんだから。
< 208 / 226 >

この作品をシェア

pagetop