最後の恋愛Ⅱ
如月さんは、苦虫を噛み潰したみたいな顔でうんざりして言った。

「ばかじゃない?っていうか、やってらんない。」

ああああ

ごめんなさい

合わせて、恥ずかしすぎる。

っていうか、どんだけ、大麦と二人の世界に入り込んでいるんだ私。

そもそも、如月さんの存在が、途中からまったく見えてなかったもんな・・・。

「ごめん、如月。」

私の頭上で大麦が言うと、如月さんはふんと鼻を鳴らして答えた。

「別に、もう隼人さんのことなんか、好きじゃないし。」

ぷいっと顔を背けて言葉を続ける。

「これは、私をふるなんて身の程知らずなことするから、ちょっと試してみただけだし、勘違いしないでよね。」

・・・

「ごめん。」

「だから、謝らないで。別に、私は可哀想なんかじゃないんだから。」

強がってるのは、目に見えて分かる。

その目じりには、涙が浮かんでいるのが隠しようもないくらい明らかだから―。

「じゃあね・・・。」

観覧車はいつの間にか、降り口に近付いていたみたいで・・・

如月さんは、扉が開いた瞬間、この空間から逃れるように地面へと降りた。
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