自惚れ男子の取説書【完】

店から自宅への帰り道。

ふと小田さんのマンションを通って帰ろうかと思いついた。ここからだと少し回り道になる。


寄り道…って程じゃないもんね。

律儀に美沙の言い付けを守ろうと思いつつ。もし会えたらきちんと謝ろう、と前向きな気持ちになりつつあった。

自宅周辺ならさすがに道に迷う事もない。思いきって交差点を曲がる。


茶色のマンションをいつもとは違う後ろ方向から目指し、ぐるっとエントランスへとまわる。

僅かな期待と迷いを胸にいつもの場所で足を止めた。

「なーんだ…」

いつもの場所に黒のスポーツカーは停まっていなかった。小田さんは出掛けているみたいだ。

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