自惚れ男子の取説書【完】
暖簾に腕押し。腹立ち紛れに床を踏み鳴らし、教えられた洗面所へと向かった。
「…っわ、ひど……」
鏡で見る自分の顔は、眉毛も半分消え汗と脂でドロドロ。悔しいけど、小田さんの言うとおりヒドイ顔だった。恥ずかしさも、ここまでヒドイと開き直るしかない。
よくもまぁこんな顔晒せたもんだわ…
洗面台にはきれいなタオルと洗顔料がきちっと準備されていた。ご丁寧にクレンジングや化粧水の試供品も置いてある。至れり尽くせりだ。
……何でこんなの持ってるのよ。
こんな些細な事ですら小田さんの過去を連想させて、簡単に沈んだ気分にさせる。
何を今更…小田さん相手にこんな事で動揺してたんじゃ、身がもたない。
沈んだ気持ちを晴らすよう、勢いよく水を出した。