自惚れ男子の取説書【完】
「もう!危ないじゃないですか、びっくりさせないでくださいよぉ……」
「んだぁ?勝手がわかんねぇだろうと思って、親切に教えてやろうと思ったんだろうが」
「それはそれはご親切に…どうも」
果たして帰宅するまで心臓が1つで足りるだろうか。
これ以上小田さんを意識してしまわないよう、わざと真顔で説明を聞いた。下手に話してたんじゃ、包丁を持つ手も危なそうだ。
「胃に優しいもん、頼むわ。多めに作れよ」
「はぁーい」
気の抜けた返事に一睨みされたけど、そんなのに構っている暇はないのだ。私の心臓がもつ内に、一刻も早くこの家を出なくては。
まくっていた袖を更にたくしあげ、1人気合いをいれた。