自惚れ男子の取説書【完】

「とんでもない!本当に辻さんでなければ、あの父は…どうなっていたか!す、すごいと思いますっ。辻さんは看護師として!」

「あっ、ありがとうございます。頑張ります」

ほほっと爽やかに返しつつ、松山さん一体どれだけ家でも自由にしてたんだろう…と想像する。
そんな駿巡もたどたどしい会話に一掃され、なぜかこちらが緊張してきてしまった。

「初めてお会いした時、ちっ父が失礼な事を言いまして。で、でも!父が言っていたからという訳ではなくて…あの、その…」

あぁ…どうしよう。まさかだけど。私の自意識過剰でなければ…

「ぼっ僕は…人付き合いが苦手な方だと自覚しています。話すのも、苦手…ですし。でも辻さんはいつも明るく話してくださって…あの…」

この仕事にのめり込んで5年目。おじいちゃんおばあちゃん相手に、バリバリと仕事してきたお陰で浮いた話なんて皆無だった。まして職場でそんな空気になるなんて事ありえなかったのだ。




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