自惚れ男子の取説書【完】
困った…どうしよう。
何となく好意は感じていたけど、まさか本当に美沙の言う通りになるなんて。何て言おう…こんな事なら、美沙に対策を聞いておくべきだった。
「っ、辻さん!!」
「ふぁ、ふぁい!」
伝染した緊張から裏返る声。それに笑う余裕もなく、お互いまるで睨み合うかのように立ちすくんでいた。
「あの、もし…もしよろしければ…僕と…」
あぁ…それ以上は言ってくれるな。お願い。
「僕とデっ、デートしていただけませんでしょうか!」
私の勝手な願いも虚しく、松山さんは勇気を振り絞り見事私をデートに誘ってみせた。
おめでとう松山さん、よく言えましたね…なんて言える訳もなく。一方の私も私で、何と答えようか言葉を選ぶのに必死で、正直松山さんの表情を伺う余裕もない。
「あの…その、松山さん…えぇと」
つられるようにどもりながら、必死に言葉を探す。気まずさから俯いていると、ふと視界に長い影が入り込んできた。