自惚れ男子の取説書【完】
「はっ、う…うん」
どうにかその場の雰囲気に合わせるよう、咄嗟に言葉を選んだ。
「そう。それじゃ「あっ…あの!」」
額に汗を滲ませ、ぐっと拳をつくった松山さんが小さな声を振り絞った。
「辻さん!その…こ、困らせてしまってすみませんでした。あの、父のこと…今後とも変わらずにお願い…します」
「も、もちろんです!こちらこそ!お父さんすごく頑張ってます。至らない所もあるかもしれませんが、退院まで頑張りましょう!」
松山さんの勢いに負けないようまくし立てる。慌てて話したようになってしまったけど、その言葉に嘘はなかった。
お互いにほっとして気が抜けたのか、向かいあったまま柔らかに微笑みあう。と、松山さんは私と小田さんそれぞれに一礼し、静かに玄関をくぐっていった。