自惚れ男子の取説書【完】
「…ちっ…」
隠そうともせず苦々しげに舌打ちをしたかと思えば、小田さんは私の右腕を乱暴に掴みぐいっと玄関の隅へと引っ張っていく。
「いっ…たっ。やっ、やめてください。小田さん!ちょっと!」
いつの日か組んで歩いてみたいとすら思っていたそのすらりと長い腕。
違う…こんな風に触れられたかった訳じゃない。
男の人の力に敵うわけもなくて、ささやかな抵抗もむなしくあっという間に私は玄関の隅へと追い込まれてしまった。
掴んでいた腕を投げやるように乱暴に離され、その勢いのまま壁にもたれるようによりかかる。
ダンッ
「ほんと…お前ふざけんなよ、何なの?…なぁ」
激しく拳を私の頭上に打ち付ける小田さん。あまりの勢いに思わず肩が震える。
「何…って、何でそんな怒ってるんですか。そりゃ迷惑かけちゃいましたけど」
「は?マジで分かってねぇの?お前何様なんだよ」