自惚れ男子の取説書【完】

次々と投げつけられる非難の言葉。見透かされないように、全てが零れ落ちてしまわぬようにぐっと拳を握った。

「ふざけないでください。小田さんに嫌われても仕方ないかもしれません。でも、仕事の事は許せません。プライド持ってこの仕事してるんです、職場で色目なんて使った事ありません」

震える声を必死に抑え、一気に話すと深く息を吐いた。冷静な言葉とは裏腹に、自分の鼓動が重く響き全身で緊張を感じる。

「第一、何で先生が出てくるんです?勝手な憶測で言うのやめてください」

医者って、名波先生だろうか。偶然出くわしたあの日、何を勘違いしたんだろう。的外れもいいところだ。


「勝手な憶測?じゃあ何だ、あの日言ってたのは嘘か?ふざけんな、いい加減にしてほしいのはこっちだ!」

ガンッ

左手を強く壁に打ち付け、小田さんは私を追い詰めるようその腕で取り囲んだ。力の限り握られた手は怒りで震え、私の動揺を助長する。
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