自惚れ男子の取説書【完】

瞬間…右手は宙を掴み、熱を帯びた手が私の手首を掴み取っていた。

勢いよく引っ張られると勢いのまま身体は傾き、気付けば廊下の壁に押し付けられていた。


「なに?また襲われたいの?」

「違っ……私はただ話がっ!離してください」


私の言葉に逆らうよう更に力は強まり、私は完全に壁へと縫い付けられていた。


「いいよ。話せばいいだろ。このままでもいいなら話くらい聞いてやるよ。この間のこと責めにでもきたか?それともやっぱり襲われにきた?」

「違います。私はっ…ちゃんと小田さんとサヨナラしに…」

「”ちゃんと”…だ?勝手に……勝手に離れていったのは誰だよ…どいつもこいつも」


ギリっと音が鳴りそうな程に握られた手は、徐々に赤黒く変わり指の感覚も失われてきていた。

手の痛みで顔が歪む。
ただそれより、胸がキシッと音を立てひどく締め付けられていた。
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