自惚れ男子の取説書【完】
「やっぱりいいですねぇ、結婚って」
ぼそっと独り言のような小さな呟き。それから一瞬の静寂。
隣り合う小さな肩がピシッとかたまる気配を感じた。
「まぁ…失敗すると悲惨だけどな」
素直な意見と、ほんの少しの加虐心。
まぁこいつに結婚ちらつかせる気なんてさらさらないんだろうけど。いつも乱される分、たまには振り回してみたくなる。
「そう……ですね」
ほら見ろ、案の定落ち込んだ声だ。
気づかないふりをして、淡々と写真のデータをチェックする。横目で盗み見ると、わかりやすく肩を落とししょげていた。誰もお前との事だなんて言ってないのに。
………嗚呼っ、くそっ。
「おい、この自意識過剰」
「………はっ?」
「勝手に落ち込むなめんどくせぇ。誰もお前のことなんか話してねぇだろ」
自分で苛めておいて結局自分でフォローして…一体俺は何がしたいんだ。