自惚れ男子の取説書【完】
「だ…だってキーホルダーが!いかにも女性もので美月さんがつけたと思ったんですよ」
「あぁ?美月に鍵貸すなんてぜってぇやだね。第一あんなの美月の趣味じゃねぇだろ」
確かに。普段ボーイッシュでシンプルな格好を好む美月さんが、ビジュー付きなんてらしくない。
じゃあ何か。前の彼女のチョイスとか?何て嫌がらせよ。
「おい。これはなんだ」
「はい?エッフェル塔…ですね」
小田さんがつまんだ合鍵にはエッフェル塔とハートのモチーフ。さすがにそれくらい私でも分かる。
「よし。じゃあ俺が海外出張に行ったのは?」
「ええと確か、フランス…パリ?」
あ。えっと……でもそれって……
「小田さんの出張って付き合う前に行ったのですよね?」
「だからなんだ」
「えっと……私のお土産、その時から考えてくれてたってことですか?」
「…うっせぇ。嫌なら付けんな」
思わず緩む口元を誤魔化すよう少し俯く。視線の先、小田さんの足がぴくっと揺れた。
「へへっ、ありがとうございます。大切にしますね」
「へぇへぇ。なくすんじゃねぇぞ」