もう一つのダイヤモンド
しばらくしたら、ハンドタオルごと手を握られた。

そして、耳元で声が響く。

「ひとりで泣かないで。泣かせて、ごめんな。でも、離れることを思って泣いてくれるのは、正直嬉しかったりもする。矛盾しているけど。」

泣いていたのはばれていたらしい。

「ごめんなさい。」

「謝ることじゃないよ。」

「応援するって言ったのに。」

「泣きたいときは泣いてほしい。」

そう許されて、とうとう、肩が震えてしまった。隼人さんは後ろから抱き締めながら、頬を伝う涙を拭ってくれた。

やっと震えが落ち着いた頃、

「おやすみ。」

と静かな声が降ってきて、

「おやすみなさい。」

と答えたら、お腹に回った手がポンポンポン…とリズムを刻んでくれて、いつの間にか眠りに落ちた。

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