もう一つのダイヤモンド
うーん、ソファの前のテーブルにもらった資料を広げて悩む私。私としては、選択肢はもう二つ。ただ、隼人さん的には、もうワンランク上の、オートロックの物件がいいらしい。悩んでいるのは、どう説明したら分かってもらえるのかなということ。隼人さんは、私の安全を気遣ってくれてる訳だけど。


「このどっちかがいいかなと思うんですけど…。」

明らかに納得できなそうな顔をしている隼人さん。

「このオートロックのは?」

「それは、私にはちょっと高いし、それに駐車場を入れるともっと上がっちゃうし。」

そう、駐車場の値段もバカにできない。今、私の家に来ると、隼人さんはコインパーキングに停めている。今、私の家で長時間過ごすことはあまりないけれど、今度は藤が丘から車で来てくれるはずだから、駐車場があった方がいい。オートロックのマンションは地下に駐車場があるせいか、お値段がとても高い。

「何なら、月々、俺が少し出してもいいけど。」

「それは、絶対にダメです!」

私は、それだけはと強く言い切った。いっしょに住んでいる訳ではないのに、お金出してもらうなんて。強く言い切った私に驚いたように、隼人さんは目を軽く見開いた。

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