もう一つのダイヤモンド
すると、後ろのタクシーの運転手が言ったてきて、近くにいた真美さんに声をかける。

「澤田先生、タクシー呼びました?」

「ああ。」

タクシーとは少し離れた、看護師さん達の中にいた先生が歩いてきた。

タクシーに乗るかと思ったら、その手前にいた、薬局の輪のところで立ち止まる。

えっ、まさか、とドキッとしたけど、

「お世話になりました。お先に失礼します。」

と薬局長に声をかけた。



ふぅ…思わず詰めていた息が漏れる。
がっかりしたような、ほっとしたような…。

「お疲れさま。また。」

薬局長も声をかける。

「いろいろ、よろしくお願いします。」

ちらっと、隼人さんが私の方を見て言ったのが分かった。目は合わなかったけど、視線の意味を、薬局長は理解したようで、

「ああ、また、連絡するよ。」

と言っていた。他の人には意味が分からない会話だったかもしれないが…たぶん、私のことなのだろう。
< 56 / 70 >

この作品をシェア

pagetop