Camp training~誰も救えない~

「ゴッホ!それでは皆さん、この箱の中から紙を一枚ずつ引いてくださいね。
それを引いたら誰にも見せずに、自分自身だけで紙の中身をみてください。」

不敵な笑みを浮べたまま、学校長はそういった。
教師たちはゆっくりとその箱の中の紙を一枚一枚引いていった。
教師全員に紙が渡り、全員がゆっくりと紙を開いた。
教師は6人、その中で5人は白紙。1人は、死神の描かれた紙。
これが‘強化合宿’の始まりである。


「はい、それでは...。あの絵が描いてある紙を引いたのは誰ですか?
手を上げてくださいね」
1人の教師がゆっくりと手を上げた。

「はい...。私です...。」

それは、この名門校で一番落ちこぼれのクラスの担任、
水島 博 数学教師(3-C担当)だった。

周りの教師たちは、安堵感と驚きの表情で彼のことを見つめていた。

「あっははは!水島先生のクラスでしたか!
これは面白いことになりましたね!大丈夫だといいんですけどね...。
頑張ってくださいね...。」

意味深な言葉と笑みを残し、学校長は会議室を後にした。
そして他の教師たちもぞろぞろと会議室を後にした。




水島 博(43歳) 数学教師 3-Cクラス担当
教師7年目 妻あり。
この学校に3年前に赴任してきた。
強化合宿経験は、まだ浅い。

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