バースデー・イブ

 あたしは今日の出来事を話した。

 「でさー、金ないからそこは知華のコネで安くしろって言うんだよ?プロデュースしろと言うんだよ?あたしは経理だ。無いなら無いなりにしろよ」
 そう言って久保さんのキープしている赤霧島をロックで飲む。
「まあ、やれないのは本人たちが悪いって思うから、そんなの手伝う義理はないよ。それに25歳にもなるなら指輪くらい買う貯蓄あると思うし…資産運用したりさぁ…」

 「ま、ちーちゃんがやりたくないなら……あ、ごめん馴れ馴れしく」
 グラスを持ちながら弁解する久保さんに、いいですよと言うとよかったと呟く。
 「断っていいと思うよ」
「いいのかなぁ…」
「うん。ちーちゃんがそこまでやる必要はないよ。むしろひどいよそいつ…浮気して、相手妊娠させて結婚って…一番ひどい裏切り方だと思う」

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